その九八

 

 

 






 







 

















 

ふたしかに つながりあった かけらをしまう 

むかしっから人気者で、
いまもぜったいてきな人気を誇っているひとがいて。
もうその人のうしろっかわにはちゃんと
人気というものがとりたてて話題にならないほど
セットになっているそんな人。

むかしっからぜつだいな人気ってすごいと思う。

いつだったか好みのドラマを演出されていた方が
人気っていうのは人の気配のことですよね・・・と
男性アイドルと対談しているのを
聞いたことがあった。

そうか人の気配か、とあらためていま思う。

あの人には気配がいっぱいなんだな。
男の人も女の人もおじさんもおばさんも
こどもも犬や鳥や猫や獣までも。

すなおにいい眺めだなぁと思う。

そのうしろっかわの大勢の人のなかの
もう胡麻か芥子のようにしかみえない人だかりの
一部がわたしなわけで。

と、辿りながら、わたしにさえわからないような
じぶんというちいさな気配らしきものが
あっちのほうまでぶーんと伝わっているとは
思えなくなってきてとてもおかしい。

たくさんの人たちがあの人を囲むように
日々まわりに集まっているということが
人気なわけだから、
なんかそこはかとなくいるなって感じが
いつかどこかで塊になってゆくと、
これが化学変化を起こして数やいろんなものに
置き換えられる人気というふしぎなものに
なるんだなぁとつらつらっとしてみた。

たくさん人気のある人。
すこしだけ人気な人。
少数だけど熱狂的な人気に搦めとられてる人。
たったひとりだけに人気のある人。

あ〜どれもこれも。
この現象は、ちゃんと双方が生きているという
証しみたいなものなんだなぁと思い
そのちっちゃな点の気分で、
あのひとはそれにしてもわたしにとって
むかしっからまぶしいんだなぁと
ちらっと思ってみたのでした。    

       
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