その一〇四

 

 

 






 






 















  さみしさを ちゃらにしてゆく どしゃぶりの星   

どこかにむかってなにかをカウントダウンし始めてる
ざわついたこのシーズンにあって、
すこしだけ、笑ってしまいたくなる
アイテムに出会った。

大きな本屋さんの中のステーショナリーなどを
売っているコーナーにあった
ひとつの砂時計。

なにで出来ているのかもそういうことに
ぜんぜんあかるくないのでわからないのだけれど
むわんとした液体みたいな中に
グミみたいなものが浮いている。

砂が零れ落ちて、時を測るという
砂時計の成り立ちもすばらしい発見だなぁと
思っていたのだけれど
わたしがみつけたのは
まったくその逆でした。

上にあったものを下にひっくり返すと
下にあったとろんとした液体が
ドレッシングを作っている時みたいに
空気の泡ができて、いろとりどりのグミが
どんどんどんどん楽し気に上へ上へと
昇ってゆく。

落ちてゆくのではなく昇りつめることで
時間がわかるというユニークな
設計がなされていた。

どんな時間も過ぎていってしまうものに
違いはないのだけれど
この砂時計を見ているあいだは
なんだか、たちどころに時間が増えていってるような
そんなとくべつな時を手に入れたような
ちっちゃな感動がありました。

どんどんとろんとふえてゆく時の中に
ちゃんとなくした時も会釈して
まじりあっているみたいで
みている間の時間感覚がちょっとずつどこかに
ふれてずれてるような体験。

こういうものは、なんかすっごく好きになりはじめた人
とかに贈りたくなったりするんだろうなぁと
なんどもひっくり返しひっくり返しながら
ちょこっとだけそういうこと思ったりしていました。
       
TOP