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あ
め
で
し
た
瓶
の
う
ち
が
わ
あ
め
が
つ
た
っ
て
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ずれながら なまえをよぶよ うっすらつめたい
八十歳になった頃、とつぜんカンヴァスに
向かい合うようになったアボリジニの画家、
エミリー・ウングワレー。
いちどテレビで目にしていた<ビッグ・ヤム・
ドリーミング>という黒と白の世界は
ちゃんと目の前で体感したいなって思っていた。
遠くからみるとまっしろな縒りのしっかりした
コードをそのままカンヴァスに
はりめぐらしたように立体的にみえるのに
近寄るととてもフラットにもみえて
じっさいはどんな感じがするのか
確かめてみたいと思ってた。
他の作品も、色彩がにじんでいるようにも
みえるのにドミノ倒しのようにどこかが
触れただけで、ずずずっと傾れ込んだり
しない、いっこの色としてちゃんと大地に根を
張って立っているイメージの力強さを
感じていた作品のかずかず。
彼女の展覧会のレポートを作家の
いしいしんじさんが書いていらっしゃってて、
ふいに気になるなまえに出会う。
点描画<蔓植物の実>に出会った時、
いしいしんじさんは、雨の音を感じたらしく
オーストラリア土産にもらった
レインスティックを思い出したと記されている。
それはアボリジニが雨乞いの時に使う
楽器らしく、1メートルぐらいの竹の棒の
中に、植物の種や実が入っているのだとか。
すこしかたむけると中の種や実がこすれあって
雨音のような音を鳴らす、レインスティック。
みたことはないけれど、その文章を目で追った
途端、想像の中ではとてもしっかりした輪郭を
持ったわたしだけの楽器になってしまった。
ざざざなのかざらざらじゃりなのかよく
わからないけれど。
乞うっていうよりも雨が恋しいときにそばに
あるレインスティックを鳴らして雨に逢いたい
と願ってるみたいな音色を想い描いてみる。
なにかを空にむかって呼んでいるような
てんとてんのあわいのすべてみたいなものが
すこしぽつりとおちてくるような
ずっと太古にしっていたような気持ちに
なっていた。
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