その二三五

 

 






 






 


















 

空白に ゆるされたじかん ゆめゆめすすむ

ひかりのしずくが天井からつるされた
いっぽんのすいちょくのかたちにそって
したたってゆく。

ひかるものが、そこできえたりついたり
するのではなくて、うえからつつつと
おちてゆくと、青いひかりはまたつつつと
もどって、おなじうんどうを繰り返す。

なんねんぶりかで、クリスマスらしい
光景をめにしていた。
ひさしぶりに連絡をいただいたmさんと
はじめてゆりかもめに乗った。
レインボーブリッジは、いつもテレビで見る
橋の色とちがって、その日はなないろっぽく
にじんでた。

雨のふっていた日だったので、なんだか景色は
眼のなかにはいるものすべてがじわんと
とけだしそうな感じがしていた。

おおきな観覧車もなんねんぶりだろう。
カラーゴンドラに乗ってみた。
ひとめぐりする円環をふしぎなリズムで進むので、
あの箱の中にいる間は、
まったく時間がどっちにむかって
進んでいるのかわからなくなる。

それにmさんとはこうして会うのはたぶん五年ぶり
ぐらいだと思う。
わたしの想像のつかない喪失感の中にいることは
知っていたので、ずっと元気なのかどうか
気になっていたのだ。
それでもなんとなく根拠はないけれど
そのままぽしゃっちゃわない人だなってことだけは
信じていた。

会わない時間が長くあるのに、いつも気にかけている
人っていうのは、もしかしたら実際に会ったときには
その空白を感じないものなのかもしれないなって思った。

そのことをかみしめるのに、あのイルミネーションが
あざやかな放射状に光るあの観覧車の中は
とてもぴったりすぎるぐらいの空間だった。

十二月になると、なつかしい人から連絡を頂いたりする
機会がふえるのはうれしい。
あ、覚えていてくれたんだなとか思い出してくれて
いたことが、すなおにうれしくなる。

mさんの口癖は<迷ってるなら行こう>だったのだ、
そういえば。
ひかないことで、いままでなにかを切り拓いてきた人
なんだなぁとも思う。
わたしに欠けている未来というビジョンがちゃんと
健在だということも知って安心した。

雨が降っていたので、ふたりでビルの渡り廊下を
ダッシュした。
ダッシュしながら、ときどきダッシュって
いいかもしれないなって思った。

ひとは元気だけではやっていられないけれど
すこしずつ元気の種がいま、育っているような
そんな横顔はとても晴れやかだった。

ことしもうたたね日記2008を読んでいただき
ありがとうございました。
みなさまにとってあたたかでしあわせな
来年でありますように・・・。

       
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