その二六六

 

 













 



























 

朝風に ふれてるこぶし 祈りをつなぐ

道の上、
宙を舞う声が、ひとしきり
ちらばっていたのに、とたんに
ひとつの帯になって、駆け巡る。

あたらしい年のこどもたちのたかいたかい
声の声援をいつも耳にするたびに
耳もこころもあつくなってしまう。

ゆく年来る年を、料理の手をとめて
じっと映像に見入って、しんみりと雪に
つつまれた大晦日のてっぺんを見守りながらの
カウントダウンにも、まだまだ実感が
わいてこなかったというのに。

あのこどもたちの、のどが枯れそうなぐらいの
ぐわんばれ、ぐわんばってにふれたせつな
あぁ、今年もどうやら明けたらしい、無事に
明けたのだっていうそんな気がしてくる。

家のちかくが箱根駅伝ルートになっている
こともあって、ランナーが駆け抜けるときの
この恒例のこどもたちの声のあいさつは、
新年をリアルにさせてくれる出来事のひとつに
なってもう10年になる。

じぶんが苦手なせいか、走るひとに憧れる。
かつてうずまいていたふるい風をおもむろに
はきだして。あたらしくてあざやかな風を
すいこむとき。
たいせつななにかがからだをよぎったような
気配を夢想しながら映像を見入る。

走る。
くりかえしているのにふるびない。
走る。
アスファルトを蹴っているのに蹴られた
みたいにかんじる。
走る。
ちくたくと、じぶんの足で時間を刻む瞬間。

今年も箱根駅伝にこころがちりりとふるえた。
たすきをつなぐという、かけがえのない約束を
まのあたりにして、陽の光がじわじわと
廊下にのびるように、こころまでがあたらしい年に
はしりだしてゆくようで、ほんとうに
ランナーの男子たちに、ありがとうって
気持ちでいっぱいになった。

2010年もどうぞうたたね日記をよろしくお願い
致します。
みなさまにとって、こころあたたかな日々のまま
はしりぬけてゆくような一年でありますように・・・。

       
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