その四一三

 

 






 







 














































 

空の空 夢をつむいで 呼吸のように

 計の掛かっている部屋の中にいる。
時計はすでにデジタルになって久しい から、その時を告げる音を聞いている だけで、まわりの人たちを囲んでいる 時は、常にまっとうに回り続けていた ことに気付かされる。
 新しい場所、あたらしい人。新しい道、 あたらしい機械。
 いままで、馴染んでいたものをやむを 得ず手放さなければいけないことや、 その新しさの中にある存分な空白に半ば 戸惑いながら、1月の真ん中にいる。
 ぼーんという音が3度鳴る。2度目 よりも、やわらかく聞こえる。
 珈琲カップから湯気があがる。 湯気の行方はかすかにゆらぎながら、 空調の風とひとつになって舞い上がる。
 それは見えない道を通り抜けながら どこかへとくらます。
 わからないからいいんだよっていう 年配の人がいつかそうおっしゃっていて。
 そういえば、今年はなぜかおみくじを 引かなかったなって思いながら、 〈恋みくじ〉でひきあてた短い言葉が、 はらはらと去年の手帳のページから床に 落ちてきた。〈その愛でいいのか。〉。
 今になってみると、ふいに出会う言葉の 中に、ほんとほんとっていうようなことが、 あるもんだなって、おかしくなるし、 ちょっとだけこわくなったりもする。
 みなさまの2015年が、こころふくよかで
ありますように。ことしも、どうぞ「うた
たね日記」をよろしくお願いいたします。

       
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