その四九八

 

 





 







 


















































































 

天の川 たゆたう流れ みちてゆく秒

 駅の近くのモールの入り口には笹の葉が飾られていてそこに、つたない文字で何かが書かれた短冊がつるされていた。

 よくわからないけれど、みんななにかを祈ったり願ったりしたいことがあるんだなって思いながら、歩く速度も幾分ゆるやかになる。

 大阪にある星が丘という町には、<天の川>という名前の川があるらしい。
 空の上にではなく、ちゃんと地上にあるのがいいなと思う。

 むかし<教養としての裁縫>を身に着けるための洋裁学校があって、そこの裏庭の納屋が、<ソーイングテーブル>というカフェに生まれ変わったのだとか。その場所と人の物語がとても好きで、時折、読んでいる。<空いていた教室がギャラリー>になっていろんなアーティストたちの個展が開かれたり、ほんとうに人と人が時間を通して縫い合わされているようなそんな印象なのだ。

 カフェの机の真ん中には<便箋とペンの箱>が用意されていて、それは<恋文展>のためのもので、ポストではなくて<投函しない>恋文をかけるようになっているらしい。
 
 みえないこころのりんかくをちゃんと、うけとめる場所がそこにあるって、おもしろい。
 たなばたのことも忘れかけていたけれど、ひさしぶりに紐解きながら、そこに集う人々が健やかでありますように。
星が丘の<天の川>に託された願いが、ちゃんと、まっすぐ届きたいひとのもとに届くといいなと、思いめぐらしながら。

       
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