その五一三

 

 






 







 





























































































 

どこまでも 徒然なるまま 満ちてゆく月

 遊行寺の坂を上っている時、なにかに見られている気がして見上げると、もうすこしで満月になるぐらいの月がいた。
 1月はブルームーンなんだよ。
 ブルームーンって?
 だから、1月は2度月のはじめとおしまいに満月になるんだって。なんとなく得した感じしない?
 そんな会話を思い出しながら坂をのぼる。
 
 あ、月って思う時のあのよくわからない高揚感っていいなって思う。1年のはじまりにそういう根拠のないわくわくする気分を味わうのは、わるくないなって。

 おみくじを引いた。
 去年とおなじ結果で、よかったって思ったのに、その文面がなんとなく、たしなめられている感じで、少しだけ、ほめられたあとにけなされたような気分だったから、満月にちかい月と出会えたことをよしとしようと思ったりした。

 そういうことでくよくよするの面白いねって言われたこともあったなって思って、そういうのことしはや
めようって、ささやかな今年の抱負をいだいてみたり。

 でさ、吠えるのかな2日?
 なにが?
 満月だから、犬とかがさ。
 夜、騒がしいことあるよね。犬の鳴き声が。
 そうそう。
 あれって満月の日だったのかな?
 かな? でもさ、犬はじぶんの影に吠えてるんじゃないっかって。
好きだよね、朔太郎さん。らしいよね。
 2日の夜は、雑事から解放されることもなく、泥のように眠ってしまって。
 なくかどうか、夜のしじまに耳をすませようと思っていたのに。
 うっかり聞き忘れてしまった。
 月に吠えている犬がいたら面白かったのにと思いつつ。

 今年もうたたね日記をよろしくお願いいたします。
 みなさまにとって、あたらしい風が吹きぬけるような
1年でありますように。

       
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