その五一七

 

 






 








 






























































































 

G線上の とちゅうのばしょで ふたり生まれて

 それはあなたのことだといわれても、まだよくぴんと来ないことがあって。でも時間が経つと、あぁそういうこと! って思うことがあったりする。

<馴染み深いところから出て、道のところに向かい 今までと違う考えかた過激なまでに新しい考え方をみつけるでしょう>って言われたのが去年の始まり。

 去年はしきりにいまいる場所から違う場所へと、移動してみたいという願望がおそろしくあったけど今年になったらなったで、まだそこにはやり残したことがあるかもしれないから、がんばってみようとこころ動かされることがあったりして。
 またちがう前の向き方をしている感じがする。

 前向きも後ろ向きもどっちも向いていることには変わらないのだし、向いていることをやめている訳ではないことに、注目してみたら、いや、それで、いいんじゃないかって思う。

 すっごい元気で溌剌だったYちゃんが、ちょっと心を病んだとき、逢って話をしていたらむかしのYちゃんじゃなくなっていて。表情も声も満ち満ちていなかったので、ほんとうにこころをいためてしまったんだと、正直おろおろしてしまったけれど。

 彼女が唯一いきいきするのは、友達のI君のことをほんとばっかだよねって嬉しそうに話しする時とかかりつけのカウンセラーの先生に今から会いに行くのって言った時の顔だった。
 すごくすてきな場所に行くようなそんな感じで、表情がふわっとほころんだ。
 そんなにうれしいんだな、ある意味今こうして、お茶している時よりもって、落ち込んだけれど。
 よくよく考えてみたら、いまは彼女はただそういう季節を生きているのだから、むかしの彼女を懐かしがってはいけないのだと、じぶんに言い聞かせた。

 もう逢わなくなって長いけれど、今は元気だといいなって思う。どこでもリーダーシップをとっていたあの頃のYちゃんはいるかもしれないし、いないかもしれないけれど。
いまはいまでいい季節の中を生きているといいなって思ったりしているこの頃です。

       
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