その六六五 |
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言 |
ひそやかな 音符のむこう 空のむこうに この間、友達と古都にある喫茶店で 暮れなずむってこういう時間帯なんだなって 会話の凪がふたりに訪れて窓ガラスからの なんでもスマホに撮りたくなるご時世だけど。 あの茜色の光の中にその喫茶店のフロアが その時、わたしはこんなことがあったんだよって わたしにとっては、とりとめもない言葉として ある種の誤解のような形の出来事で。 わたしにとってその誤解は一笑に付す でも目の前にいる彼女は、すこし ちいさな傷が、たちまちかさぶたになって なにかを吐露したり、放ったりすることが 吐露せず、放つことなく、じぶんのうちに 絵に例えたら、描かれている部分じゃなくて 言えなかった言葉も、今までたくさん抱えてきた そしてその雰囲気が、彼女の証なのだと |
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