その六七一 |
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八 |
まなざしの 宛先のこと ゆらしてうつつ 誰かの書いた文章を好きになるときって まだ見たことのない映画の評を書いていらっ 横田創さんの『幸せになるためのイタリア講座』の 「壺からでたばかりの焼き立てのパンをトレー そんな冒頭を読んだ時これはわたしの物語かと思う 失敗するひとにひいき目の視線を送りたい。 大丈夫じゃない時に大丈夫? と聞かれることの 横田創さんのその眼差しが好きだと思う。 そんな時は、なにもしないことが正解なのだ。 彼女は心が焦りの汗まみれになってしまっている 仕事ですこし大きな失敗をしたらしい。 そのことを見透かされたみたいに。 たった一言こんな文章に会うとわたしはずっと 観たことのない映画をみたような気がする。 そしてほんとうに見定めたいと思う。 評であれ、小説であれ詩であれわたしは そしてそうやって誰かの文章を好きになるとき。 なにかを描写している、そこに注がれている 今日のいちにちの終わり近くにわたしは |
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