その六七二

 

 














 






 

白球の 想いのままで 風に吹かれて

人の気持ちって、なんだろうって思うのは、
そこにつまづいた時のほうが多いような
気がする。

『ピン!』という絵本に出会った。
この絵本は、ねぇ、いきるってさ…
で、はじまる。

子供も読む絵本で、生きるってさって言われたら
ちょっとぽかんとしてしまうけど。

子供だって、日々いろいろなことに悩みながら
生きているわけで。

この冒頭はとても、健やかに正しいと思う。
そして次につながることばは。
「ぼくらは、ピンって、するだけ」。
だった。

ページにはピンポンする赤い頬の可愛い
キャラの子が描かれてる。

「ポンっと するのは あのこしだい」って、
ちょっとかわされた。

ピンとポンは、ふたつでひとつだけど。

ピンと、自分のこころを投げたらあとはじっと
待つだけでいい。

ピンする誰かのことをかけがえなく思って
ピンすればいいと気づく。

こころの形は、想いにならない想いのときも
たくさんあったりする。

ピンすることに焦らなくてもいいし、
ポンも思いのままでいい。
ぽんが返ってくることだけをひたすら
望まなくていい。

わたしがピンってことばを投げたら
いつも誰かがポンって、やさしい言葉と共に
返してくれる。

ひとって、ほんとうにピンとポンで日々成り
立っているんだなって気づいた。

そして、今日。
窓ガラスには雨粒がくっついたり離れたりしている、
いつもの待ち合わせの喫茶店でこの本を友人に
あげた。

彼女の部屋のどこかにもらわれていったと
思うと、うれしい。

本を手放してうれしいってあまりないこと
だけど。

そっちで、ピンとかポンが機嫌よさそうに
跳ねているといいなって思ってる。
いや、跳ねてなくてもいい。
ピンだけがはしゃいでいてもポンだけがぽつんと
していても、それぞれのリズムで生きていたら
いいなって。

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