その六八七

 

 





 





 





 

包まれて 覚え始めの 記憶の中で

「根拠のない大丈夫は、やさしさで
出来ている」。

去年この言葉をドラマで聞いた時、
ちょこっと書き留めておいた。

このセリフの後はこんな言葉が続く。

「僕は前向きな言葉が好きです。綺麗事と思われるかも
しれないけど、綺麗事を口にしてきた人って泣いてきた
人たちだと思うんですよね。もう一度立ちあがろうとし
てきた人たちの言葉だと思うんです」

『初恋の悪魔』悠日の言葉。

かつてただただ根拠が欲しい時があった。

根拠だと言われたら無条件に信じて
しまう回路が頭の中にはいつのまにか
できていて。

こんなふうにわたしの頭や心はころっと
騙されるのだなって知った。

でも、根拠だってゆるぎないわけじゃなくて、
危ういものだったりする。

上手く言えないけれど、明日もとりあえず
生きなければいけないわけだから

すこしでも生きていたいと思うような
そんな思いや言葉に囲まれていたい。

正しさより優しさが欲しい時もあるって
いう歌詞もあるけれど。

やさしいということを、あまり蔑ろに
するとじぶんにしっぺ返しが来るような
そんな気持ちもしているこの頃だ。

やさしいは、か弱いではなくて、強さに
裏打ちされたとよく聞く。

これはたくさん立ち上がろうとした人たちの
根拠のない大丈夫でできているものなのかも
しれない。

たとえば根拠のない「大丈夫」って
なんだろう。

わたしはおみくじの言葉を想い浮かべた。
神社系のおみくじでさんざん脅された
ことはあるけれど。

おみくじの言葉がやさしいと、それだけで
今年なんとか大丈夫かもしれないと思える。

それは、

根拠があるから信じるんじゃなくて。
ふいに出会った「大丈夫」だから自分を
心強く支えてくれるんだなぁと思えることが
ある。

それはあのドラマになぞらえると、

たくさん傷ついてきた人だからこその
立ち上がるための言葉。

たまさかであっても心強く居られたら
いいなって思う今年の始まりです。

2023年も「もりまりこのうたたね日記」をどうぞ
よろしくお願いいたします。
また酒折連歌賞などにもご応募いただけたら嬉しく
思います。みなさまにとって幸せな日々であります
ように。

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