その七〇七 |
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初 |
足跡を 刻む音だけ 耳に届いて 母が11月に倒れてから、不器用ながらやりくり この間は、指をまじまじみつめてる母が 身体をひとつのものと感じるんじゃなくて。 元気な時には知らない母の言葉だった。 そうやって今は母から聞いた言葉を、日記に 機嫌悪い日もあるけど。 それをできるのってわたししかいないだろう 面会は義理の妹ちゃんに送ってもらう時も ひとりで帰る時は、歩いて帰る。 この間、3日のことだった。 1日に起きた災害のことで、 家系のラーメン屋さんの前は高校生らしき その時、坂道で通りすがる男の子がいた。 紺色のフードを目深くかぶっていた。 指先が音を刻むようにリズミカルに動いてる。 見ると悪いなって思いながらチラ見したら。 彼の唇は微かに音を刻んでるみたいで、ああ。 彼はラッパーなんだってすぐわかった。 ひとめも気にせずに、リリックのところなのか 彼がどんな背景を持った人なのか知らない。 それぞれの2024年はもう始まっているんだなと 彼のひたむきな姿を見ていたら、すこし SNSを離れて道を歩いていると。 今年もどうぞうたたね日記をよろしくお願いいたします
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