その十三






 





 








 

とっぴょうしもないちからの限りからだのあらゆる部分を
ふりしぼっていると感じるのは、
それは時折寝入りばなにカナシバリの罠にかかってしまったとき。
ありとあらゆるえねるぎーをいちどうに集めてそして
闘犬のような声を想像しながらのどの奥から声の破片を
片っ端から引き寄せるかんじ。
眠りながらへるぷみーと叫んでるそんな妙な時間をやり過ごすため
わたしはしりとりに耽ることにした。
「ん」まで辿り着けばじきに夢のなかに戻れることを信じて。

恐い夢を見ました。 ・・・、 見ました、見てしまってごめんなさい誰かの涙。
涙はどうしてすぐに乾いてしまうの? しまうの忘れたまんまの夏のサンダル。
サンダルを履いてるところを見ていた男の人。 男の人はみんな元気ですか?
元気ですか?ぼくらのこころ。 『こころ』を読みたくなる午後ってやつは。
ヤツは三輪車で帰ってったよ。 帰ってったよさっきシェーンも。
シェーンの遠くなる背中って。 背中に書いてもいい?指文字。
指文字で書きたいことばはとある歌詞の一行目。
一行目に恋してはじまったふたりです。

ふたりです、道に迷ったふたりです。
ふたりです、しじまを知ってるふたりです。
ふたりです、眠たくなったふたりです。
ふたりです、夢のなかではふたりはどうしようもなくひとりです。

ひとりで見る夢にでてきたのはひとりぼっちの象さん。

それにしても、カナシバリの罠はくやしいかな内での出来事だから
誰が見てもすやすやと眠っているようにしかみえないことです。
あんなに闘っていたことを知っているのはいつでもじぶんひとりという
そんないぢわるな仕組みになっていて。
いつもそれに気づかされるたびわけもなく吠えている
夜明けの犬の泣き声を思い出して、
すこしばかり肩を組みたくなってしまうわけです。

dream a happy dream!

       
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