--- 平成十六年 ---

その八十一 るりたては 風のまにまに こぼれてゆけば 一月十三日

その八十二 冬の蜂 ことばみたいな 羽音がほしい 一月二十二日

その八十三 さかしまな 夜をまたいで 獣が眠る 二月十八日

その八十四 シーソーが 誰かを乗せて きしみあうのに 二月二十八日

その八十五 そんなこと ばらばらに想う ひょんなあなたは 三月二十三日

その八十六 花びらが そよいでばかり 真昼の道に 三月三十日

その八十七 ブラウスが そろりと風に 近づいてゆく 四月十四日

その八十八 朝の夢 コピーしてくる 透けてる紙に 四月二十二日

その八十九 てにをはが ビルの谷間に ぽとり浮かんで 五月十日

その九十 空の果て らびあんろーずと しゃうとしたくて 五月二十一日

その九十一 しゃがれてる てのひらぜんぶ つつみこむとき 六月一日

その九十二 夏の季語 まぶたのうちに とじては放つ 六月十七日

その九十三 坂道を ミチコの傘が まわりつづける 六月三十日

その九十四 海の日に しらない色の あさがおが咲く 七月二十日

その九十五 うたかたの 揺れる火の色 すくってこぼす 八月四日

その九十六 ホーローの バケツの中に 夏の切れ端  八月二十日

その九十七 夏やすみ ノオトの文字が 宙にまよって 八月二十九日

その九十八 コンセント まっすぐ抜いて すきまがふたつ 九月十三日

その九十九 ふくよかな 楕円の夜が 鋪道にすわる 九月二十六日

その一〇〇 窓のそと 凪をあつめた ふたりの背中 十月十三日

その一〇一 あおいゆめ ねむりつづける 化石のように 十一月二日

その一〇二 おはなしの 了の字だけを 見ている刹那 十一月十七日

その一〇三 うつろって おとなになって 空に逃げてく 十二月三日

その一〇四 揺れている つり革もって 夜を眺める 十二月二十日


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