その五二十七

 

 






 






 
































































































 

過去のタグ いちどはずして もいちどつけて

 5月はジェットコースターみたいに過ぎていった。
過去の苦い記憶に振り回された気もするし、なにかが、満ちそうなのにその手前で、動きがとまってしまったような感覚にも陥って、こころが忙しかった。
 問いかけては、さらさらと問いだけが風にまぎれてゆくけれど。その問いかけはまちがっていなかったかもしれないって確信もどこかに、あって。

 失望しそうだったのに、すぐそこに希望の欠片がころがっていることを発見したり。
 ふりかえってみると、なかなかそれはそれでおもしろかったと思う。

 そんなときに出逢ったのが、アメリカのドラマの中の台詞だった。
<私たちは正しい目的があり、私たちの行いはささやかでもすべてに影響を与える。
 ハエでさえ羽を動かして風を起こしているのだ>
 すきだなって思った。
 ハエでさえっていうところ。こうやって時間を共にすごしながらも、世界が変わろうとしていることにハエもわたしも加担しているのだ。ささやかであってもっていうところがいい。
<1つのホコリでさえ地面に落ちると、この星は重くなる。人が踏み鳴らすと地球は少し軌道から外れる>
 このあと、笑い声や悲しみがテーマになってゆくのだけれど。こういうドラマの中の言葉のなかに、明日ちょっとだけ頑張ってみようという、ひとしずくの思いみたいなものが隠されていて、ちょっとやめられなくなってしまう。

 きままにおちこんで。いたづらに脱皮して、笑ってる。脱ぎ捨てた抜け殻は、ちゃんとたたんでしまってどこかに保管しておけばいいし。ぜんぶ捨てることはないんだということをこの5月いろいろな方から教わった気がする。
 にんげんって、いろんなことに<re>が、からだのどこかに宿っている、そんな生き物なのだと知って、こころの雲が遠のいた。

       
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