その六六八

 

 





 






 




 

いにしえの 香りまとって 運ばれてくる

この料理にスパイスが足りないなって
思うことがよくあったりする

そんなふうに今日のじぶんの心には
なにかスパイスが足りなかったのだ
という日がよくある。

このあいだ、はじめて会った友人と
お茶していた時に。

甘やかされた時間を存分に味わって
いるようなそんな午後のコーヒーを
飲んでいた。

甘えていい人がいるって、とても心地いい。
おとなになってからできる友達って
いいものだなって思った。

正直、ここ数十年あたらしいともだち
らしき友達っていなかったと思う。

顔見知りや知人や、お稽古仲間や
仕事仲間はいても。

そのひとたちは、友人ではない。
だから、わたしが欲しかったのは
わたしのことを文章を通して
知ってくれている、理解者のような
友人がほしかったのだと気がついた。

たぶんそれが一番、わたしのことを
わかってもらえるような気がして。

世の中、一長一短ある。

そして、友達ってなんだろうって思った時。
話をうんうんって聞いてもらえたり
それだけじゃなくて、それは違うかも
しれないとか。

ちゃんとナビゲートしてくれることも
そのひとつかもしれない。

甘いことだけじゃなくて、酸っぱい
ことも言ってくれるひと。

この間ある年下の頼れる友人が言って
くれたのは。

「強くなろうとしないでください。
 愚痴ってください」

という言葉に触れた時だった。

愚痴るぐらいなら自分のなかで収めようと
思うところがあったけど。

彼女のことばはわたしを呼吸しやすい
場所へと誘ってくれるようでうれしかった。

TOP