その六九二 |
|||
う |
今おぼえた 花の名前を 心に刻んで 大切な身近な人が記憶を失って わたしは比較的記憶がいいほうだと 記憶の中には思い出したくないことも 忘れてしまったほうが身のためのことも 記憶にすがらないように生きていきたいと でも身近な人の記憶の掛け違いには 瞬間的に心無い言葉ばかりを放って そういう時自分を否定したくなった。 たったひとつの守らなければいけない そのこととずっと付き合いながらも。 たったひとつのことを失った記憶のまま でも考えてみたら、その失った記憶は どうでもいいことで。 大阪に住んでいた小さい頃となりに住む おはようは欠かさず彼らに言ってから、 わたしは気持ちを切り替えた。 |
||