--- 平成二四年 ---

その三二六 こぞことし 日の出の前に 消えてゆく星 一月五日

その三二七 さみどりの わのかたちした 雨粒ひとつ 一月三十一日

その三二八 球根を ゆるくとじてる てのひらのなか 二月十四日

その三二九 耳寄せる さとうかえでの 樹木の声に 二月二十七日

その三三〇 灯台の ひかりとひかり 闇をくぐって 三月十日

その三三一 あたらしい かけらを拾う すべり台のした 四月十二日

その三三二 おぼえてる ずっとむかしの さっきまでのこと 四月二十八日

その三三三 しっぽふる けむくじゃらの いぬのように 五月六日

その三三四 雨もよい もぐりこんでる たそがれるひと 五月十五日

その三三五 ゆびとゆび かすかなすきま こぼれる想い 六月十一日

その三三六 うららかな だれかのために 見ている空は 六月二十七日

その三三七 あの鶴は 遠い誰かの 声に似ていて 七月十日

その三三八 熱帯夜 こころもとなく 眠りにおちて 七月十八日

その三三九 なつのはな うなずきあって ゆれているよる 七月三十日

その三四〇 うしなった びしょびしょの 夏の時間 八月十日

その三四一 遠すぎる 景色描いて 八月が終わる 八月三十日

その三四二 ほのぐらい のどのおくには 錨がやどる 九月十一日

その三四三 てのひらに 人差し指で らせんを描く 九月二十二日

その三四四 こぼれそう 胸の花瓶の ひたひたの水 十月十八日

その三四五 ネガのなか ぶらんこゆれる 夜をまとって 十月三十一日

その三四六 豆苗が 屈託もなく つるをのばして 十一月十六日

その三四七 ひたひたと 樹液がつたい うつろってゆく 十一月二十五日

その三四八 垂直に 夜が滴る 地球の果てで 十二月三日


 

 
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