--- 平成二二年 ---

その二二六 青い輪を くぐってまとう 走るあなたは 一月一日

その二二七 なにもかも うしろでにして たぐりよせてる 一月十一日

その二二八 おやゆびと こゆびひろげて きょりをはかって 一月三十日

その二二九 あすふぁると きのうのわだち ぬ りこめられて 二月六日

その二七〇 うでのなか 風のたよりを だきしめながら 二月十八日

その二七一 箱の中 きえてゆく声 いれておくから 二月二十八日

その二七二 春の路地 ゆらり逃げてゆく 陽炎のにおい 三月九日

その二七三 むすびめは ひとつぽつんと よのなかの中 三月十八日

その二七四 音もなく 葉桜になる 速度おしげなく 三月二十八日

その二七五 うずまきの ぱーつが眠る 耳の底です 四月七日

その二七六 雁が飛ぶ 空に十字架 一瞬のかたち 四月二十一日

その二七七 ぬすまれた へんなこころと すこやかなそれ 四月三十日 

その二七八 さかしまの 蟻がゆらゆら 列をはずれて 五月七日

その二七九 雨の窓 いとしさだけが たりなくて 五月十六日

その二八〇 ふいうちに ゆびのかたちの ふれーむずらす 五月二十八日

その二八一 おりたたむ よるよるよるの いえないことば 六月六日

その二八二 てのひらで こしらえている ゆうべのうつわ 六月十六日

その二八三 火を貸して そのこえだけが ひびく傘のなか 六月二十九日

その二八四 ささの葉の うらにふるえる しずくがひかる 七月七日

その二八五 夕まぐれ 魚になって 猫になって 七月二十日

その二八六 さやぐ葉に ここらへんが ゆらぐでしょ 七月三十日

その二八七 千代田線 まどに琥珀色の 液体じわっと 八月七日

その二八八 そばにいると りんかくせんが みつからない 八月十八日

その二八九 あの夏の 風の匂いに 焦がれる海で 八月三十日

その二九〇 まるいでしょ まごつくぐらい まるいでしょう 九月八日 

その二九一 湯のなかに ゆるされている しらたまふたつ 九月二十二日

その二九二 ばうわうが 空へ空へと 吸い込まれて 九月二十六日

その二九三 鍵盤に 耳ちかづけて 音叉がにじむ 十月八日

その二九四 水際で たしなめられる ふつつかなゆび 十月二十日 

その二九五 朝の陽が こぼれつづける きざはしの上 十月二十九日 

その二九六 しんぞうの ありかを耳で さぐるぼくたち 十一月五日

その二九七 ありふれた ひとさしゆびが 宙にまよって 十一月十七日

その二九八 なじんでた 名前を落とす 夜の浅瀬に 十一月二十八日

その二九九 きまぐれに 日付きざんだ ページのなかに 十二月十日

その三〇〇 たそがれに つらぬかれてる てのひらのうえ 十二月十五日

その三〇一 流星が ゆめのあわいを かけぬ けてゆく 十二月二十三日

 

 

 

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